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開設72周年記念 瑞峰立山賞争奪戦 2023年8月6日

郡司浩平

ASにつなげる神奈川ワンツー

 眞杉匠と北井佑季。関東と南関を代表する徹底先行が、誘導退避とともにプライドをかけてぶつかり合う。いきなりハイペースで幕を開けた決勝戦を、郡司浩平が振り返る。
 「(最内枠の)浅井(康太)さんは単騎ですし、前は取らないだろうから、スタートをしっかり出れば前からになると思った。眞杉君は切るタイミングがうまいし、立ち遅れないようにとは北井さんも思ってたと思う。でも、いつもよりも突っ張るスピード域が上がってた。そこからまた2、3回加速して踏み上げるんで、これはゴール前は厳しいかなとは思いました」
 眞杉を突っ張り切った北井の主導権でレースは進むが、4番手には浅井、5番手には松浦悠士が控えている。一切気の抜けない状況の中で、郡司は番手から出なくとも、北井とゴール勝負ができると判断した。
 「でも、(北井は)心配する感じじゃなかったですね。ジャン前で加速して、そこからハイスピードで回せている感じだった。33バンクっていうのもあったし、北井さんの踏み直しならバックまでもてばゴールまでもつなって思いました。松浦君の仕掛けも見えていて、いい形ではなかったので、僕が一振りすれば止まるだろうなって。(北井と)ゴール前まで行けるだろうなって判断をしっかりできた」
 松浦のまくりを張って抜け出した郡司が、北井を差して4月小田原以来18回目のG3優勝。北井も2着に逃げ粘って、神奈川ワンツーでのフィニッシュ。神奈川のみならず南関地区全体にとって、このワンツーには大きな意味がある。
 「昨日(準決)の2着は、差しに行って差せてないけど、自分にとってうれしい2着だった。周りが強くなって、それで上で戦える。変な話、番手から出ないと勝てない場面っていうのはあると思う。でも、それじゃ自分も周りも育たないと思うんです。優勝できましたし、ワンツーはなおさらうれしいです」
 直後に迫った西武園オールスターに向けて、最高の流れに乗った。自身3度目のG1制覇へ。最終調整へと入っていく。
 「オールスターまではあと1週間ぐらいありますし、それを含めてここの追加を受けた。いい形で、いい流れでオールスターに行けると思う。ダービーの(落車の)こともありましたし、今年の前半は期待してもらっていた分、応えられていなかったと思うので頑張りたい」
 この優勝で賞金を加算しても、まだ獲得賞金ランキングは14位。だが、確かな手ごたえはつかんだ。郡司は頼もしい仲間とともに、後半戦を巻き返していく。

 なんといっても北井佑季の強さが際立ったレースだった。この自信を胸に、次は得意バンクでのG1に挑む。
 「決勝になると、みんな勝ちたいって思っている。自分も着を狙う中で、気持ちの入ったレースをするっていうのは着を狙う以上のこだわりがある。前よりも落ち着いて走れていますし、脚力的にも上がっている。夏でバンクが軽いのと、33バンクで先行有利っていうのと、すべてがかみ合った。西武園はチャレンジ、A級1、2班、S級と走って負けなしの9連勝中なんです。郡司さんといい関係ができてきていると思うので、G1の舞台でワンツーができるようにしたい」

 初手から北井ラインを追った浅井康太が、内から佐藤慎太郎を交わして3着。
 「(北井が)突っ張るのは想定していましたけど、真後ろの眞杉君が来ると思っていなかった。松浦君もいいタイミングできていましたし、郡司君が番手から出るのかを見ながらでした。まずはしっかり付いて行って仕掛けられればって思っていましたけど、隙がなかったですね。郡司君が番手から出なかった分、バックを踏んだ」

レースプレイバック

 スタートは浅井康太、郡司浩平、松浦悠士、恩田淳平が勢い良く出たが、郡司が誘導の後ろを占めた。初手は北井佑季-郡司-佐藤慎太郎、浅井、眞杉匠-恩田、松浦-柏野智典-小倉竜二の並び。 青板周回に入ると松浦が前と車間を空けはじめ、北井も誘導と車間をとって後続の動きに備える。バックで眞杉が踏み上げると北井も負けじと応戦。両者のつばぜり合いは赤板過ぎの1センターまで続いたが、北井が主導権を守り通した。眞杉は佐藤の後ろに降りようとしたが、浅井も譲らず眞杉はズルズルと後退。最終ホームで松浦がスパート。松浦はじわじわと前に迫るが、2コーナーで佐藤にブロックされてスピードが鈍る。快調に逃げる北井には単独で郡司が続き、3番手はイン佐藤、アウト松浦、4番手がイン浅井、アウト柏野でバックを通過した。3コーナーで佐藤が松浦をけん制すると空いたインを浅井が突く。絶好の展開となった郡司が北井を交わして優勝。北井が末脚良く2着に粘り神奈川ワンツー。3着には浅井が入った。

開設71周年記念 瑞峰立山賞争奪戦 2022年8月23日

松浦悠士(広島)

好展開メイクでV奪取

 2人のS級S班ら4車のラインになった吉澤純平が前団に構える。8番手のポジショニングになった松浦悠士は、青板の手前から車間を空けはじめて2コーナーからフルダッシュ。吉澤の突っ張りの芽を摘んで先頭に立った。それに呼応するかのように、岐阜勢が仕掛ける。赤板過ぎに主導権を握った山口拳矢がグングンとペースを上げて、松浦は3番手を手に入れた。
 「(吉澤と山口で)踏み合いになってくれればと思ってたんですけど」
 こう振り返った松浦だったが、“他力本願”で別線の仕掛けアテにすることなく脚を使ってレースの流れをメイクした。
 「(吉澤に)突っ張られたら終わっちゃうんで、2周半をカマすくらいの勢いで行きました。あのタイミングでいけば、(岐阜勢は)早めにいくかなと」
 敢然と風を切った山口に別線が襲い掛かると、最終ホーム手前で竹内雄作が番手から踏み上げる。竹内との車間を切って間合いを取った松浦は、詰める勢いでまくって出る。余力を残して直線を迎えた松浦に強襲した平原康多の体が重なったところがゴールだった。
 「あれで詰まって(仕掛けないで)後悔するなら、行った方がと。(優勝は)どうかなと思ったけど、(ファンの声が)平原さんによかったぞって聞こえた。それで行かれてしまったかなと。そしたら最後の方に僕(へのファン)の声が聞こえた」
 最後は目いっぱい体をしならせて、ハンドル投げ。確信はもてなかったが、タイヤ差で平原を退けていた。
 「正直、ギリギリでした。今回のメンバーで自力で戦って、優勝できるとは。平原さんも落車の影響があったにせよ、自力で4車のラインに勝てたっていうのは成長できているのかなと。今節はだいぶ疲れたのでしっかりと休みたい」
 オールスターが台風の影響で1日順延。今シリーズが中3日とタフな状況下においても、抜群のパフォーマンスを見せた。今年の獲得賞金もすでに1億円を超えていて、4度目のグランプリ出場を確実なものしているが、応援してくれるファンのために松浦のモチベーションが下がることはない。

 ライン3番手の平原康多は、自力に転じた宿口陽一が不発になって最終2センターから追い込んだが届かなかった。
 「松浦君が強かった。山口君があんなレースをするとは思ってなかった。予想外だったけど、それを読み切ったというか、自分でそういう流れにした松浦君が強かった」

 関東ラインの後ろを固めた和田圭は、最終3コーナー過ぎから平原の内を進出。直線の入口で小倉竜二にからまれたが、こらえて3着に入った。
 「平原さんがどうするか見てた。(最終)3コーナーくらいからいけてればおもしろかったかなって。でも、小倉さんの壁は厚かったです」

レースプレイバック

 スタートは平原康多、小倉竜二、山口拳矢が飛び出すが、最内枠の平原が誘導員の後ろを占めた。吉澤純平-宿口陽一-平原-和田圭の東勢が前を固め、単騎の荒井崇博がその後ろに入る。以下は山口-竹内雄作、松浦悠士-小倉の並び。
 青板周回の2コーナーを立ち直ったところから前との車間を空けていた松浦-小倉が一気に踏み込むと、山口-竹内もやや離されながら続く。正攻法の吉澤は松浦-小倉を前に出すと、赤板では松浦-小倉を追っていた山口-竹内が飛び出して主導権を握った。先手を奪った山口は緩めることなくハイペースで飛ばし、ジャンは山口-竹内、松浦-小倉、吉澤-宿口-平原-和田、荒井の一本棒で通過。2センターで吉澤が仕掛けるが車はあまり進まない。最終ホームでは竹内が番手まくりを敢行し、松浦-小倉が続く。最終バックで宿口がスパートするが、小倉にけん制されて失速。3コーナーで松浦が踏み込み、直線の入り口で先頭に躍り出た。懸命にゴールを目指す松浦に対し、2センターから外に持ち出して伸びてきた平原が襲い掛かる。両者は並んでゴールに飛び込んだが、タイヤ差松浦がしのいで優勝。2着に平原、3着は平原後位から内を突いた和田。

開設70周年記念 瑞峰立山賞争奪戦 2021年7月26日

稲垣裕之(京都)

稲垣裕之が大会連覇を達成

 「自覚を持って走る」。強い決意で大会連覇に挑んだ稲垣裕之が会心のまくりで結果を出した。
 「若い選手に気持ちで負けないようにと思ってました。(去年は村上博幸の番手を回っての優勝だったが)本当にどの位置でも勝てるのは気持ちのいいものですし、グレードレースで勝てたのは自信になります。父親の出身が富山で、親戚がいつも応援に来てくれるので良かったです」
 強力布陣を敷いた中部勢を相手に堀内俊介が抵抗したことで、チャンスが生まれた。
 「自分も含めて誰かしら(中部勢の)邪魔をしないと優勝できる確率は低くなりますからね。もつれたらホーム前には仕掛けようと思ってました。(三谷)将太も内を締めていたみたいですし、2人の力を合わせた結果です」
 これで通算8回目の記念制覇。来月に控える平オールスターに大きな弾みがついた。
 「オールスターまでは時間がまだありますし、もう1回気持ちをリセットしてまた土台作りから始めたい。G1の舞台でもっとしっかり勝ち上がれるようにしたいです」
 2日後の28日には44回目の誕生日を迎えるが、脚力はまだまだ健在。16年の寛仁親王牌以来となるG1制覇も不可能ではない。

 三谷将太が2着で近畿ワンツー決着。好マークから直線で迫ったが、逆転はならなかった。
 「稲垣さんがめっちゃ強かった。あと半周行っても抜けなかったと思う。稲垣さんはさすがですね。自分は阿部君や柿澤君もいたので割られないように気にしてた。自分が抜いてワンツーかと思ったけど」

 中部ライン3車の先頭を任された藤井侑吾は突っ張り先行で稲垣にまくられたが、しぶとく3着に粘り込んだ。
 「初のS級決勝が記念なので、やっぱり緊張しました。突っ張ったらそうなるかなって思っていたんですが、僕の気持ちが弱かったです。流しすぎて、後ろの(竹内)雄作さんに迷惑をかけてしまいました。反省する点が多いです」

レースプレイバック

 藤井侑吾-竹内雄作-宮越孝治の中部勢が前団に構える。稲垣裕之-三谷将太、堀内俊介-小原太樹、単騎の柿澤大貴、阿部力也で周回を重ねる。
 6番手の堀内から上昇を始めて藤井に併せ込むが、藤井はバック過ぎに突っ張りそのまま先行態勢に入る。堀内が番手で粘り、藤井後位は竹内-宮越(イン)と堀内-小原で併走。稲垣が6番手で前団の様子をうかがい、単騎の2人は阿部、柿澤になって打鐘を迎える。逃げる藤井後位の併走は決着がつかないまま、稲垣が4コーナーから仕掛けて最終回へ。
 逃げる藤井も合わせるが、稲垣がスピードの違いでバック手前でまくり切る。三谷がきっちりと続き、近畿勢を追った阿部は、藤井後位を踏み勝った堀内に張られる。柿澤が空いた中を突いてもつれる。近畿両者の直線勝負は、三谷を振り切った稲垣がV。柿澤、堀内、小原、阿部の4人が直線で落車に見舞われ、逃げた藤井が3着に残る。

開設69周年記念 瑞峰立山賞争奪戦 2020年8月2日

稲垣裕之(京都)

同郷同期の絆で稲垣裕之がV

 同県同期の固い絆で稲垣裕之が久しぶりの栄冠をつかんだ。前回りを志願した村上博幸が奇襲のカマシ先行。その気持ちに応えるべく、別線の反撃に合わせて全力でペダルを踏み込んだ。
 「(村上の)気持ちがうれしかったです。(番手から)出て行くかどうかの判断は難しかったですね。やっぱりこれまで(村上は)僕の後ろで我慢させることが多かったし、なかなか思うように走れなかったこともあると思います。こうやってどんな並びでもしっかり走ってくれる。これが近畿の層の厚さですね」
 決勝には近畿勢が6人進出。7車立てで別線勝負になるのは仕方ないが、地区全体の総合力が上がっているのを感じている。
 「6人決勝に上がれるのがいまの近畿の力ですね。同地区で別線勝負はやりづらいですけど、そこは割り切って力勝負をして。みんなで切磋琢磨して、さらにレベルアップしていきたいですね」
 この優勝で次走の名古屋オールスター、来月の向日町記念に向けて弾みがついた。
 「近畿には脇本(雄太)というすごい選手がいるし、自分ももっと頑張らないといけないないと思います。もっと力をつけて、近畿勢を盛り上げていけるように」
 この開催の直前に43歳を迎えたが、闘志はまだまだ健在。2度目のG1制覇を目指して進化を続ける。

 目標の元砂が厳しいと見るや自ら外を踏み上げた椎木尾拓哉が2着に。
 「(村上の)カマシがちょっと予想外でしたね。あれで(元砂は)慌ててしまったところもあると思います。ちょっと厳しいと思って、外を踏ませてもらいました。伸びは良かったし、今回は尻上がりに感じが良くなりました」

 後方6番手に置かれた松岡健介は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「僕はまずは元砂と勝負、そのあと村上や吉田と考えていたので、思っていたのと違いました。色んなレースを想定したけど、判断ミスというか、まさかの展開でちょっと見てしまった。吉田も仕掛けて前が併走になっていて、踏むところがなかったです」

 村上博幸は盟友の前で驚きの先行策に打って出た。
 「3番手に入って、あれで誰か後ろからカマして来て、それにスイッチするのが好きなんですけどね。かぶってしまうと思ったので、行きました。ペースに入れて残るようには駆けているけど、先行選手じゃないですからね。あとは稲垣さんの判断に任せて。稲垣さんは苦しい時期もあって、一生懸命やっているのでずっと見てきたので」

 元砂勇雪は初の記念決勝で持ち味を出し切れなかった。
 「松岡さんを意識していて、(村上)博幸さんは3番手でまだ来ないかなって思ってました。先行したかったんですけど、難しいですね。3番手に入ってすかさず仕掛けたんですが、(稲垣に)出られて厳しかったです」

レースプレイバック

 号砲で出た松岡健介がスタートを取り、村田雅一との兵庫両者が前受け。単騎の吉田敏洋が3番手で、村上博幸-稲垣裕之の京都同期コンビが4、5番手。元砂勇雪-椎木尾拓哉の奈良・和歌山コンビが後ろ攻めで周回を重ねる。
 青板の1コーナーから元砂が上昇し、バックで松岡を押さえる。切り替えた村上が3番手に続いて、5番手に吉田。松岡は6番手に下げて赤板を通過する。先頭の元砂が後方を警戒する中、村上は2コーナー手前から加速すると、打鐘で一気に元砂を叩いて先行態勢に。3番手にはまった元砂は最終1センター過ぎから反撃に出るが、稲垣が合わせて2コーナーからまくり出す。椎木尾もバックから自力に転じて稲垣に迫ったが、稲垣は力強く振り切ってVを飾った。2着に椎木尾が入り、大外をまくった吉田の内のコースを踏んだ松岡が3着でゴールした。