開催まで
あと
26日
驚がくの立ち回りで連続優勝
4車対4車の2分戦。最初のポジション取りがキーポイントでもあったが、そのスタートを制したのも古性優作だった。
「(スタートを)しっかりと取りにいって、ちょっと遅れたけど盛り返した感じですね」
単騎の吉田拓矢は中団の5番手。6番手でタイミングを取った新山響平は、赤板を目がけてスパートして襲い掛かった。が、石塚輪太郎もそれに合わせて踏み込む。
「とにかく(石塚)輪太郎が強かった。迷いがなかったです。ジャンのところはもっていかずに、(新山が)止まりそうだったけど、もう1回伸びていったんで僕も下手でした」
打鐘でのけん制を新山が乗り越えるが、石塚もフルアクセルで踏んで抵抗。古性は最終ホーム過ぎに菅田壱道を軽く止めて、石塚と新山の踏み合いを見極めた。
「(最終1コーナー付近で)新山君が止まって菅田さんがすぐに内から来た。(自分の)スピードを落として、菅田さんのスピードを殺すように。あとは吉田君が来るかなって思っていたんですけど、守澤(太志)さんが来ていたのが見えていた。新山君も膨れていきそうな挙動でしたけど、(石塚と新山の)中からもっていけば、守澤さんも膨れていくかなって」
古性自身は納得の立ち回りではないものの、心憎いまでの冷静は判断力と俊敏な動きだった。吉田が内に詰まり、2コーナーから守澤がまくる。菅田を止めた古性は、今度はバックから中の狭いコースを踏んで新山を張って、そのあおりで守澤までも不発。一度に2人を仕留めて見せた。
「(周りは)全部、見えていましたね。あんだけ輪太郎が頑張ってくれていましたし、(番手から出ることは)心苦しかったんですけど。思いっ切り踏ませてもらいました」
果敢に新山に立ち向かった石塚の思いをムダにすることなく、古性が先頭でゴール。今年4回目のG3制覇でオールスターからの連続Vを遂げた。
「今シリーズは輪太郎がすごい頑張ってくれた。自分だけの力じゃ苦しいなっていう感じだったんですけど。一緒に走って(気持ち的に)上がってくるものもありましたし、そのおかげで優勝できたのかなって思います」
6日間シリーズのオールスターからの日程は、古性といえども万全のコンディションではなかった。それでも優勝を結実。近畿の仲間、さらにファン投票1位に押し上げたファンの気持ち応える勝利でもあった。
「(結果を出すことは)自分のためだけじゃなくて。最後は自分のためなんですけど。もうひとつプラスアルファとして、ファンの方々の期待に応えたいなっていうのがあった。自分のためだけじゃ頑張れなかったですね」」
単騎の吉田拓矢は、石塚ラインの後ろからレースを運ぶ。最終ホーム手前で外にいた守澤に降りられるとインを進出。香川雄介をすくって、古性、菅田に続いて4ーナーで外に持ち出して追い込んだ。
「ずっと(外がかぶっていて)コースがなかったです。ほどけたと思ったら古性さんが出ていった。今日(最終日)はバンクが重かったですし、難しかったですね。ちょっと昨日で悪いイメージがついてしまった。結果は2着ですけど、悔しい開催になりました」
新山の余力を確かめながら最終ホーム手前で内よりに進路を取った菅田壱道だったが、1コーナーで古性に阻まれる。浮いた菅田は井上昌己との併走。井上をキメて古性のまくりに続いた。
「新山が止まったと思った瞬間に内へ行ったんですけどね。まだ(新山が)やめていなかった。古性君もうまかったですね。冷静でした。(そのあとは)とりあえず井上さんをキメてと。後ろが付いているかはわからなかったんですけど。ラインとしてやれることは、それぞれやれたと思います」
スタートで古性優作が飛び出して西日本勢が誘導員の後ろを占める。道中は、石塚輪太郎-古性-井上昌己-香川雄介、吉田拓矢、新山響平-菅田壱道-守澤太志-内藤秀久の並び。 青板過ぎから石塚が誘導との車間を空けて後方の動きを警戒し、赤板を目がけて踏み上げていく。それに合わせて新山も一気にスパート。新山は打鐘3コーナーで古性のけん制を受けながらも前に詰め寄るが、最終1センター過ぎに石塚のけん制を受けてスピードが鈍る。1コーナーで菅田が古性にさばかれて新山と連結を外したため、2コーナーでは守澤が自らまくり上げていくが、この動きに合わせて古性が番手発進。古性の動きにうまく反応した菅田、吉田が追い掛けるも、追撃を振り切った古性が優勝。吉田が直線で菅田をとらえて2着。菅田が3着。
ASにつなげる神奈川ワンツー
眞杉匠と北井佑季。関東と南関を代表する徹底先行が、誘導退避とともにプライドをかけてぶつかり合う。いきなりハイペースで幕を開けた決勝戦を、郡司浩平が振り返る。
「(最内枠の)浅井(康太)さんは単騎ですし、前は取らないだろうから、スタートをしっかり出れば前からになると思った。眞杉君は切るタイミングがうまいし、立ち遅れないようにとは北井さんも思ってたと思う。でも、いつもよりも突っ張るスピード域が上がってた。そこからまた2、3回加速して踏み上げるんで、これはゴール前は厳しいかなとは思いました」
眞杉を突っ張り切った北井の主導権でレースは進むが、4番手には浅井、5番手には松浦悠士が控えている。一切気の抜けない状況の中で、郡司は番手から出なくとも、北井とゴール勝負ができると判断した。
「でも、(北井は)心配する感じじゃなかったですね。ジャン前で加速して、そこからハイスピードで回せている感じだった。33バンクっていうのもあったし、北井さんの踏み直しならバックまでもてばゴールまでもつなって思いました。松浦君の仕掛けも見えていて、いい形ではなかったので、僕が一振りすれば止まるだろうなって。(北井と)ゴール前まで行けるだろうなって判断をしっかりできた」
松浦のまくりを張って抜け出した郡司が、北井を差して4月小田原以来18回目のG3優勝。北井も2着に逃げ粘って、神奈川ワンツーでのフィニッシュ。神奈川のみならず南関地区全体にとって、このワンツーには大きな意味がある。
「昨日(準決)の2着は、差しに行って差せてないけど、自分にとってうれしい2着だった。周りが強くなって、それで上で戦える。変な話、番手から出ないと勝てない場面っていうのはあると思う。でも、それじゃ自分も周りも育たないと思うんです。優勝できましたし、ワンツーはなおさらうれしいです」
直後に迫った西武園オールスターに向けて、最高の流れに乗った。自身3度目のG1制覇へ。最終調整へと入っていく。
「オールスターまではあと1週間ぐらいありますし、それを含めてここの追加を受けた。いい形で、いい流れでオールスターに行けると思う。ダービーの(落車の)こともありましたし、今年の前半は期待してもらっていた分、応えられていなかったと思うので頑張りたい」
この優勝で賞金を加算しても、まだ獲得賞金ランキングは14位。だが、確かな手ごたえはつかんだ。郡司は頼もしい仲間とともに、後半戦を巻き返していく。
なんといっても北井佑季の強さが際立ったレースだった。この自信を胸に、次は得意バンクでのG1に挑む。
「決勝になると、みんな勝ちたいって思っている。自分も着を狙う中で、気持ちの入ったレースをするっていうのは着を狙う以上のこだわりがある。前よりも落ち着いて走れていますし、脚力的にも上がっている。夏でバンクが軽いのと、33バンクで先行有利っていうのと、すべてがかみ合った。西武園はチャレンジ、A級1、2班、S級と走って負けなしの9連勝中なんです。郡司さんといい関係ができてきていると思うので、G1の舞台でワンツーができるようにしたい」
初手から北井ラインを追った浅井康太が、内から佐藤慎太郎を交わして3着。
「(北井が)突っ張るのは想定していましたけど、真後ろの眞杉君が来ると思っていなかった。松浦君もいいタイミングできていましたし、郡司君が番手から出るのかを見ながらでした。まずはしっかり付いて行って仕掛けられればって思っていましたけど、隙がなかったですね。郡司君が番手から出なかった分、バックを踏んだ」
スタートは浅井康太、郡司浩平、松浦悠士、恩田淳平が勢い良く出たが、郡司が誘導の後ろを占めた。初手は北井佑季-郡司-佐藤慎太郎、浅井、眞杉匠-恩田、松浦-柏野智典-小倉竜二の並び。 青板周回に入ると松浦が前と車間を空けはじめ、北井も誘導と車間をとって後続の動きに備える。バックで眞杉が踏み上げると北井も負けじと応戦。両者のつばぜり合いは赤板過ぎの1センターまで続いたが、北井が主導権を守り通した。眞杉は佐藤の後ろに降りようとしたが、浅井も譲らず眞杉はズルズルと後退。最終ホームで松浦がスパート。松浦はじわじわと前に迫るが、2コーナーで佐藤にブロックされてスピードが鈍る。快調に逃げる北井には単独で郡司が続き、3番手はイン佐藤、アウト松浦、4番手がイン浅井、アウト柏野でバックを通過した。3コーナーで佐藤が松浦をけん制すると空いたインを浅井が突く。絶好の展開となった郡司が北井を交わして優勝。北井が末脚良く2着に粘り神奈川ワンツー。3着には浅井が入った。