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あと
32日
南修二23年目のビッグ初V
「(近畿の仲間たちに)付いていくのが精いっぱいなんですけど、なんとか迷惑を掛けずにすんだと思います」
ファンの前での優勝インタビューで、南修二はこう言って一息ついた。スターぞろいの88期として、03年7月にデビュー。23年目で初めてつかんだビッグだったが、この言葉に南の“喜び”が集約されているような気がする。
5車で結束した近畿勢。数的に断然有利なラインを形成したが、太田海也、深谷知広をはじめ、単騎の4人は一瞬たりとも気の抜けない顔ぶれ。小さなほころびが、ライン全体の崩壊を招くことを知っている南は、隙をつくらない一心での3番手だった。
「5車というのを生かして、(三谷)将太なり、僕なりが援護できれば良かった。けど、(古性優作に)ほとんど任せる形になってしまった」
単騎で攻めることをいとわない深谷知広の上昇を、赤板過ぎに寺崎浩平が敢然と突っ張りレースを支配。5車が隊列を崩すことなく打鐘を迎えたものの、次は太田海也が最終ホーム手前から近畿勢に襲い掛かった。1センターでは南、三谷であおりをつくり、その後は古性が強烈なブロック。スピードが鈍った太田だったが、態勢を立て直して再び踏み込む。3コーナーでも古性に当たられた太田がバランスを崩して落車。内に倒れ込む太田を、間一髪のタイミングで南が避けた。
「古性が戻ってきた時に前輪が掛からないようにと思って、追走していたつもりです。ちょっとまだ映像を見ていないのであれですけど。待てなかったんで踏ませてもらった感じです」
状況を見極めて踏み込んだ南は、直線で逃げる寺崎を視界にとらえて、外に進路を取った。
「踏み込んだ時には、(寺崎を)とらえられる感じでした。(ゴールした瞬間は)とくにというか、レース内容のことを考えていました」
シャープに寺崎をとらえてゴール。ビッグ15回目のファイナルで、南が初の優勝を果たした。
「結果としては受け止めるというか、優勝は良かったので次にはつなげたい。(デビュー23年目になるが)歳は関係ないんですけど、立場というか、しっかりとした競輪をまずは自分がして。近畿の競輪というのを見せられたらいいと思います。周りの進化が早いので、なんとか自分が進化しても周りも進化する。必死で追いかけているような状態です」
賞金も大きく加算して、これで深谷を抜いて獲得賞金ランクを7位に上げた。初のグランプリが見えてくるなかで、南は顔色を変えることなく口を開いた。
「(獲得賞金でのグランプリ出場は)賞金を気にしても、自分のできることとやることというのは変わらない。(今シリーズの)脚の状態は自分のなかではいいですけど、2日目は(脇本雄太に)ちぎれていますし、そういうところの底上げも必要かなって思います。まだG1が2つ残っているので、しっかりいいレースできるように練習したい」
ミスなく、隙なく、手落ちなく。南は冷静沈着に、これからも近畿の牙城を守っていく。
地元の寺崎浩平は、近畿5車の先頭を務めて、迷わず先行策。落車もあったが、近畿での上位独占をメイクして2着に粘り込んだ。
「前受けをして、主導権を握ってっていう感じで考えていました。突っ張って自分のペースに持ち込めたら、ラインで決められると。深谷さんに思ったよりも抵抗されたので、しんどかったです。そのあとは落ち着いていけたと思います。(落車もあったが)自分はゴールまで踏み込むだけっていう感じで、無我夢中でした。自分としては、やることをしっかりやれたのかなと」
三谷将太は前の南とは逆の外に避けるロスもあったが、そこから内に降りて3着。
「古性君が失格したのは残念ですけど、近畿で上位独占できたことは良かったと思います。(寺崎は)いつも通りすごかったです。すごい気迫でした。太田君が行ったあと嘉永(泰斗)君が見えたんで、軽く頭を出した。小森(貴大)君も後ろを固めてくれていましたし、ラインとして心強かったです。落車を避けたわりには伸びたと思います」
スタート争いを制した古性優作が誘導員を追い、寺崎浩平-古性-南修二-三谷将太-小森貴大の近畿勢が前を固める。単騎勢は太田海也、野田源一、深谷知広、嘉永泰斗の並び。
青板の1センター付近から深谷が嘉永、野田を連れる形で上昇し、2センター手前で寺崎に並び掛けるが、寺崎は深谷の動きを警戒しながら赤板周回のホーム過ぎに突っ張る。突っ張られた深谷は下がり、打鐘では6番手外併走となるが、4コーナーで後退。一旦ペースを落としていた寺崎は、最終ホームを目掛けてペースを上げていき、6番手を取り切った太田が同じタイミングでスパートする。太田は三谷、南のけん制を受けながらも前に迫るが、1センター過ぎに古性の激しいけん制を受けて勢いが鈍る。古性はバック過ぎに再び太田をけん制すると、太田、野田が落車。2センターでは落車を避けた南、三谷が逃げる寺崎を追い掛けて、直線半ばで寺崎をとらえた南がビッグ初制覇。逃げた寺崎が2着。三谷が3着。
眞杉匠地元で今年2度目のビッグ制覇
ホームバンクの女神が、眞杉匠に微笑んだ。最終ホームではまさかの8番手に陥ったが、そこからはあっと驚く立ち回り。ミラクルなコース取りは、地元の眞杉だからこそだろう。
「(宇都宮バンクは)高校生の時から走ってたんで、それが出ましたね」
ヒーローインタビューで、眞杉はこう言ってはにかんだ。
「直前の練習が、本当にどうなっちゃうんだろうってぐらい良くなかった。深谷(知広)さんと寺崎(浩平)さんが来てたんですけど、(一緒に練習して)モガきでもちぎれちゃったりした。そこをなんとか修正できたなって感じです」
打鐘過ぎに先に古性優作が切って出ると、眞杉は無理すことなく下げた。しかしながら、そこを九州勢、南関コンビが仕掛けて、気づけば8番手。深谷は郡司の積極策に乗り、古性も前にいて絶体絶命のポジションだった。
「(打鐘過ぎの)あそこで(古性と位置を)取り合っても仕方ないので下げたら、後手を踏んでしまった。(最終)ホームではだいぶヤバいなって。前がどうなっているかあんまり見えていなかっんですけど、もうあそこで行かないと絶対に届かないと思った」
優勝を逆算したギリギリのタイミング。最終2コーナー手前で眞杉は踏み込んだ。
「(仕掛けて)行ったら行ったで、外は無理だなって思った。もうバックから内に行って、行けるところまでって感じで空いた。バックを踏んだら終わっちゃう。本当に運が良かったなと。(前が)だいぶいい掛かりだったので、抜けたらいいなというか、(抜けると)信じて踏み込んでいきました」
バック手前からは瞬時の判断、あろうことか南修二をすくって、古性を射程圏に収めた。まくりに転じた北津留を追った古性は、4コーナーから追い込む。そこまでに脚を使っていた眞杉だったが、最後の直線勝負で踏み勝った。投げたハンドルを引き戻すと、眞杉は素早く右の拳を突き上げた。
「今年はいろいろあって、始まる前から怪我してだいぶ出遅れてた。それで記念の準決とかで負けまくっちゃった。前半戦でつまずいてしまったけど、後半戦でなんとか立て直せて、グランプリに近づけたかなと思います」
年始には練習中に落車に見舞われて、S級S班ながらも不本意な走りが続いていた。だが、7月のサマーナイトフェスティバルで、今年のビッグ初優出を果たしてV奪取。オールスターでも決勝にコマを進めると、連続G2制覇で獲得賞金を加算。賞金ランクも6位までジャンプアップした。
「最近は逃げられていないので、ここからは去年みたいにしっかりと逃げたい。今年はまだG1を獲ってないので、G1を獲ってしっかりとグランプリを決められるように頑張ります」
昨年5月に地元記念を制した眞杉が、S級S班になっての凱旋シリーズで地元ビッグを制覇。関東のエースの勢いは、年末に向けてここからさらに加速していく。
結果的に自力に転じた北津留のまくりを追いかける形になった古性優作は、まくり切った北津留と直線勝負。北津留の抵抗に手こずったのか、伸びは一息だった。
「どの位置になっても、1回は自分で動いてレースを動かしたかった。荒井さんのところにいくのはまったく考えていなかったですね。バンって踏んだのがそこだった。(3日目からレーサーパンツを換えて違和感があって最終)4コーナーでもう1回座り直す感じでした。昨日(3日目)よりはマシでしたけど。力不足です」
眞杉のトリッキーな動きに反応が遅れたところもあった恩田淳平だが、眞杉を完全に見失うことなく食い下がる。直線では懸命に外を踏んで、初めてのビッグファイナルで3着に入った。
「後手を踏んでも、眞杉がチャンスあるようにイメージして仕掛けてくれればって思っていた。初めてのG2決勝でしたけど、準決よりいい集中力だったと思います。でも、すんなりの番手で離れてしまったのは初めてかなっていうぐらいなので、もうひと脚上げていかないと。(最終)1センターで離されながらも追いかけていった。結果は3着で良かったですけど。南さんが降りそうなのが見えていたので、そのままピッタリ付いていかないと」
スタートは内枠3車と荒井崇博が飛び出したが、最内枠を生かして眞杉匠が誘導員を追う。道中は、眞杉-恩田淳、古性優作-南修二、郡司浩平-深谷知広、山崎賢人-北津留翼-荒井の並び。
赤板周回を通過して、1センターから山崎が上昇すると、バックでは3番手の古性が誘導員退避に合わせて先に切る。すかさず叩いた山崎が打鐘2センターでペースを落とすと、郡司が一気に踏み上げて、最終ホーム付近で山崎を叩き切る。山崎の動きに反応が遅れた北津留は4番手で、打鐘4コーナーで荒井をさばいた古性が5番手。叩かれた山崎が後退すると、最終1センター付近から北津留がまくりに転じて、3コーナーで先頭に出切る。深谷は郡司の番手から切り替えようとするも進みが悪く、古性が北津留の動きに続き、バック過ぎに内に入って南をさばいた眞杉が古性を追う。北津留が4コーナー先頭で回るも、古性、眞杉との直線勝負となり、外から伸びた眞杉が地元ビッグV。古性は直線で眞杉に伸び負けて2着。北津留は直線で伸びを欠いて、眞杉追走から大外を踏んだ恩田が3着に入った。